撫子の花びらたち

すべての出会いは幸せのためであってほしい

揺らがないひと(どんど晴れ)

 今日の香織さんは素敵でした。これは・・というときには
仕事を休んでまで確かめに来る・・というのもすっぱりしてて
いいなと思う。今の彼女にとっては、仕事は都合がつけられる
ものだけれど、柾樹のことを確かめに加賀美屋に行くということは
後回しにできない大切なことだったんだ。


 加賀美屋を確かめるように、味わうように、ゆっくりと見て
まわる香織。その姿は、なんの邪心もなく、本当に自分が納得する
ように確認していくようだった。そして、夏美と話す香織・・。
夏美もまた、もう何の不安も持っていない。自分の信じるもの
を想う気持ち、柾樹のことを信じる気持ちが溢れている。
それを、どんな言葉で伝えようか・・とちょっと迷った夏美に
香織がいう。ここが、柾樹の見つけた自分の居場所、帰る場所
なのね・・と。それを信じて夏美はここにいる・・と。


 自分の信じるものを持つこと、自分を必要としてくれるひとを持つ
こと、自分の居場所があること、自分の帰る場所があること。みんな
似ているけれどみんな少しずつ違う。いろんな人との関わり方が
あり、いろんな人との関係がある。夏美は柾樹が好きなの?加賀美屋
が好きなの?と、ちょっと??になるときもあるけれど、それは
綺麗に重なるのだろう。柾樹が夏美を大切にすると同時に夏美の家族を
大切に思うように、夏美が柾樹を愛するうちに、加賀美屋をも愛する
ようになったのだろう。それはまた、そのひとそのひとの愛し方が
あるから・・。伸一を愛する恵美子さんが家族を支えることで愛情を
あらわすように、夏美は女将になることで共に愛していこうと
思えるのだろう。


 そんな、自分の心をきちんと見つめて決心したひとには揺らがない
美しさがある。今日の香織さんにも、きちんと物事を見つめて自分で
納得した、美しい笑顔を見ることができた。


 環さんは、まだまだ悩み多い日が続きそうですね。彼女の眉間の
皺が伸びて、本当の笑顔が見られる日はいつになるのだろう・・。