撫子の花びらたち

すべての出会いは幸せのためであってほしい

ほんもの・にせもの(どんど晴れ)

 平治さんが「ざしきわらし!」と、間違えてあやかに声をかけて
しまう。チャ〜ンス!とばかりに平治さんに話しかけるあやか。
よく研究してるし、ひとがいい気分になる誉め言葉を惜しげなく
かける・・っていうのは悪い事じゃないけれど・・。さすがの
平治さんも、別に気を悪くする必要もないから、なんだかえへへ
ってにやけてたみたいに見えたよね。


 カツノさんのところにきてみまちがえちゃったよ・・と話す平治。
あんまり気が付きすぎるのもなんだか落ち着かねえな・・とつぶやく。


 昔むかし、ひとと接する時に気を遣いすぎて疲れていたころが
あった。仕事で取引先だとか、顧客になるかどうかなんて微妙な
方との電話だとか、そんな時は気をつかいつぎるくらいつかっても
それは当たり前で仕方のないことなのだけれど、特別に親しくない
友達以外は全部とってもきつかったりした時期もあった。目上の
ひとのほうが、懐にはいって甘えちゃえばいいから楽なくらい。


 今にして思えば、自分を今の自分以上に見せたいっていう欲が
あったんだろうなあ・・って思う。自分が嫌われることに関して
とても怖がっていた時期もあったし・・。好きな人と上手くいったり、
結婚して家庭が安定してると、そういう不安がなくなる。自分に
とって大事なものが分かるから、それ以外のひととは、出来る範囲の
おつきあいでいい・・と思える。


 そのうちに自分のこともそれなりに分かってきて、かっこつけても
ばれるときはすぐばれるってことも、人間にはどうしようもない相性
ってものもあるってことも、ひとは自分が思うほど自分のことをそんな
には気にしてないってことも、感じるようになった。そうしたら問題は
ひとではなく自分。そしてまた、人と接するときに気にすべきことは
自分がどう見られるかでなく、相手がどうして欲しいか・・そんな
よく考えてみれば当たり前のことがようやく分かってきた。そして
自然体でいられるようになったら、人間っていうものがとても好きに
なってきたような気がする。


 夏美のいいところは、なんにも考えてないところでしょうね(笑)。
ほんものの座敷わらしには邪心などありません。にせもの(?)の
ほうはいったい何を考えているんでしょうね。お花・・ぷちっと小花を
折るときもちょっとえっ?って思ったけれど、花の首をちょんぎって
たのは絶対夏美に対する思惑か、加賀美屋に対する野心か、そんな
ものが入ってるよねえ・・。


 火傷をした佳奈ちゃんの腕を板場に入って水で冷やす夏美。そりゃ
しきたり無視してはいっちゃうのもいいとは言えないけれど、非常事態に
そんなこというのもなんだかねえ・・。おまけにいきなり手伝い始めた
あやかがあんなに高飛車ないいかたして、みんなを仕切るような物言いを
してるのに、そうだそうだ・・と板長までなにもいわずに従ってるの
って・・・。つくづく、ひとって、雰囲気だとか自分の印象だとか
その場の流れだとかで、コロコロ変わってるよなあ・・って思います。
ほんとに、加賀美屋の従業員って信じられなぁい!!!