撫子の花びらたち

すべての出会いは幸せのためであってほしい

人が人を動かす(どんど晴れ)

 大女将引退。環が九代目女将となる。


 板場のおやっさんこと、板長さんが、今日は素直で
可愛かった。16歳の彼にとって、若い頃の大女将は
どれだけ美しくてまぶしい存在だったことか・・。
 ここにもひとり、大女将のファンが・・。人は人で
動く。好きな人、憧れの人、尊敬する人のために尽くす、
その人を目指して精進する・・単純なことかもしれない。
 

 番頭さんは、またもや、今度は夏美に厳しいかなあ・・
という一言。このひと全然わけわからん!と思ってたけど、
それがこのひとの性分なのかしら?それともそのバランスを
とってあっちいったりこっち傾いたりすること、誰かか
思ってるだそうからひとこと言っておかなきゃいけないかなあ
って感じの発言・・それも立場と性格が形作ってきた、この
ひとの独特の個性なのでしょか?本当の自分の性格はどこに
あるのかやっぱり分からないけれど・・(笑)。


 女将になってからの環の発言は、今までと違ってどうも好きに
なれないなあ・・。力を持った人の言葉は、独特の威圧感と
どことないくさみがある。まだ何も変わったわけではないのに
こんなに見る目は変わるんだ・・と気づかされた気分。


 ひとはともすれば、自分の好き嫌いで動く。それは、自分の
好きな人のための利益のために動いてしまうということでも
ある。それは、素直なことではあるけれども、人の上に立つ人
人に影響を与える立場に立つ人は、相当な心構えで、自分の
考えていることが自分の独りよがり、我田引水になっていないか
振り返る必要はあるのだろう。意外と単純で、純粋な、人の心は
嫌いになればそれだけの話で、いくら上から言われても、心が
向いていないと、動かなくなってしまうことだってありそうだ。


 大女将、カツノさんの美しさが際だつ、ここ何日かのどんど晴れ
だった。爪の先まで神経の届いた手指の美しさ、着物の衿を自分の
思うように整える場面、鏡に向かう緊張感・・。人のことを考える
時に、一番に考えるは、自分の有り様なのかもしれない。空っぽの
玉手箱の意味は何なのか・・。煙の出てくるおとぎ話でもなく、何か
がある形式ばったものでもなく、鏡をのぞくような、空を見上げる
ようなそんなこころを感じさせられるようだった。