撫子の花びらたち

すべての出会いは幸せのためであってほしい

音のない時間(さくら)

 み〜んなで企んで、きょうこと、グランパをふたりきりにさせる。
夕食もふたりきり・・お父さんは?と聞くきょうこに「食べるよ!」と
父。そうそう、一緒にいたくないわけじゃないんだ。


 ふたりきりの夕食。ふたりとも何も話さないけれど、だからといって
気詰まりになるほどに緊張するわけでもなく・・。ふたりきりだから
こそ、この音のない時間すら心地よく感じてくる。食べ物をやりとりして
ビールを注いで・・「おまえも・・・」・・「じゃあ・・」そんな短い
やりとりで心は通っていく・・。やがて、話はじめ、笑顔が出て・・。


 何十年も離れていたんだもの・・。どんなに相手のことを思っていても
なにも伝えずに、伝わらずに、離れていたんだもの・・。静かな静かな
食卓が、そのふたりの心に一番相応しいような気がした。何もない、何も
邪魔するものがないところから、ふたりが少しずつこころを解いていくよう
な・・・。


 ・・といってたら、親子喧嘩かあ〜!!だいぶ関係が活性化したようで。
でも、花火は何となく覚えてる。多分、線香花火は幸せな時間に寄り添って
くれそうな気がする・・・。