撫子の花びらたち

すべての出会いは幸せのためであってほしい

悲しくもないのに

悲しくもないのに涙が出るよ
そう
目の前のちいさな花にささやく


花はわたしにささやく
そう
わたしは雨に打たれるのが好きよ


こころがかさかさに乾いてしまわないように
ときどき悲しくなくても泣くのかもしれない
潤ってこんもりと膨らんだ大地に
潤ってついにはじけて芽をだす緑


愛に焦がれて泣くのではなく
愛を生むために泣くのかもしれない


いや
理由などない
溢れるから流れるのだ


ただ
悲しくもないのに
泣いてしまうことがあることを知っただけだ