撫子の花びらたち

すべての出会いは幸せのためであってほしい

大好きだから(どんど晴れ)

 つばさくんのお母さんはお仕事で帰って来られませんでした。ひとり
たたずむ彼に話しかけるけんたとゆうた。いまから母親と祭りに出掛ける
はなやいだ気持が伝わる。いっそう沈むつばさの心・・。


 夏美ちゃんじゃなくても「行こう!」って話かけたくなるよね。彼の
気持を考えると、せめて自分のできることをしたくなる。


 さとしくんもなかなかいい奴です。つばさくんをひっぱって連れて
いって、抱き上げて見物特等席にのせてくれたって。言葉じゃなくて
行動で伝える優しさや心遣いもある・・と思う。メールを送る夏美を
見る瞳が切なかったね。そのあたりは仕方ないんだけどね。人は想像も
しないことには気をまわせない。幸せなひとは特に、ときに鈍いほどに
自分が満足していることにはそれ以上のことには気づかない。


 夏美がつばさくんに言う。自分の気持ちをおかあさんにぶつけたって
いいんだよ、つばさくんはお母さんが大好きなんだし、お母さんだって
つばさくんのことが大好きなんだから、きっとわかってくれる、受け
とめてくれる・・・って。


 こころの根っこに「大好き」があるのって、なんて安心できて、何でも
自由にできるんだろう。相手のことを大好きだと思っているから、その
ひとの幸せを願っているから、なにかを大切にしたいと思っているから。


 どんなに大切に思っても、やり方を間違えることはあるし、その時々に
そぐわないことはどうしても出てくる。それでも根っこの気持がわかって
いれば、感謝をしながら「それは違う、それはいまは要らない」と
いうことが出来る。そして、相手も「ああ、そうだったのか」と納得
して他のやり方を考えることができる。


 親子がうまくいかないときは、子供が親の愛情に自信が持てないときも
あるけれど、意外と親が自分の子供から愛されているかどうか自信が
持てないこともあるのではないだろうか。子供はどんなことをしても親を
愛しているのに・・。親にどうしても愛されたい・・と思うことはそれは
間違いなく愛していることの裏返しではないのか。


 親は、自分にいくら自信がなくてもただひたすらに子供を愛すことが
唯一できる親の仕事ではないかと思う。


 ところで・・子供の成長段階にスキンシップって必要なんだろうなあ・・
ってふと思った。小さい時はもちろんだけど、言葉であらわすのが難しく
なってくる何回かの時期に、言葉以上になにかを伝えてくれる、ふれあい
があるのではないかと思った。男の子にとって、父親をはじめとする
大人の男の人と触れあう機会の必要性というものも・・・。悩んでいる時
寄り添ってくれる優しさもいいけれど、自分でも自分を持て余している
時期に、何も言わずにタックルしてきたり、4の字固めかけてきたりする
ようなそんな優しさ(?)もあるのかな・・と思ったりもしました。