撫子の花びらたち

すべての出会いは幸せのためであってほしい

本音で話せる場所(どんど晴れ)

 柾樹が夏美のもとへやってくる。
「逢いにきた。顔を見たくてさ・・・」どんな言葉より
素直でうれしい言葉。そして言葉以上にうれしい目の前の
大切なひと。泣ける胸があるというしあわせ・・。


 好きな人の隣りにいる安心感に溢れた夢見る瞳が、ビールを
一口飲んだ途端に酔っぱらいの目に変わったのに笑いました。
アルコール量の一線を越えてしまったのか、夏美ちゃん。


 いつも前向きな夏美のめずらしい弱音に一瞬ひるむ柾樹。
やっぱり自分を責めているのか?・・と思った?(笑)。
そのすぐあとにやはり頼もしい前向きな言葉を続け、言いたい
こと言ったらすっきりしちゃった!と笑う夏美。


 本音をぶつけるのは難しい。本当の心を言っただけなのに
それがどんな風に伝わるのかは、その時その時で、自分の心
相手の心、二人の関係によって、どこに転がるのかわからない。
剥き出しの心だからこそ、ひとを傷つけることもあるし、自分が
傷つくこともある。


 家族なんだから、本音でとことん話合えばきっといい答えが
見つかる・・と力強く話す夏美。彼女にとって家族というものが
何が起こっても許し合える場所、愛され、慈しまれてきた場所、
自分の素顔を、剥き出しの心を、なんのてらいもなく出せる
安心出来る場所だったことがうかがえる。


 彼女の、この、人を信じるまっすぐな瞳が、人を安心させ、彼女を
信頼させるのだろうか?素直な心を惜しげなくもらうと、少しずつ
素直な心になれるような気がする。信じ合える関係というものは
安心して帰れる場所。家族だとか、仲間だとか・・。本音というものは
爆発して投げつけるものではなく、ほどけるようにぽろりと出てくる
ものなのかもしれない。自分が楽になるために・・相手といい関係で
いられるために・・・。