撫子の花びらたち

すべての出会いは幸せのためであってほしい

やるべき仕事(どんど晴れ)

 けんたとゆうたが帰ってこない。たまらず探しに行ってください!
という夏美と、旅館の仕事を断って飛び出していくえみこ。


 何気ない顔をしていた女将が、飛び出したえみこを見送ったあと
息子にも探しにいけば?と促し、みんなを見送ったあと、穏やかな
笑顔で旅館の仕事を続ける。女将は大丈夫ですか?との問いかけに
「わたしにはやるべき仕事があるから・・」と。


 子供にとって親は絶対必要な時期がある。いつもいつもではなくても
どうしても今はいて欲しいのに・・という、何回かの局面があるのだと
思う。その頻度と深さは、それぞれだろうけれど・・。子育ては、花
作りに似ている・・というひとがいた。生まれつき、放っておいても
丈夫に育つ花もあれば、細心の注意をはらって育てなければいけない
花もある・・と。


 女将もまたひとの母親。仕事でいなかったと息子に言われる、母親と
してはつらい時期を彼女もまた経験しているのかもしれない。


 母親として、旅館を飛び出すえみこさんは清々しかった。そしてまた
旅館に残る女将も、だれがいなくなっても最後まで船に残るという船長の
ように、神々しかった。いろんな女がいて、それでいいと思う。


 子供達を探しに行っているときに流れていたBGMがウィンナーワルツ
のリズムだったのは何だか明るいものがその先にあるようで訳もなく
わくわくしました(笑)。