撫子の花びらたち

すべての出会いは幸せのためであってほしい

働いた報酬

 ラグビーのクラブチーム、年に一度の総会。2期4年つとめた
仕事を次のひとにバトンタッチした。買い物かごひとつ分くらい
まるまる占領してたいろいろな書類も、全部ひきついで手放した。


 上の方の役ではないから、そんなに忙しい目や大変な目には
あわなくて、マイペースでやれる役だったから、そんなに苦では
なかったけど、引き継いだ人の顔色がだんだん変わってきたのに
そうねえ・・いつのまにか私の生活の一部になってたもんねえ・・
と考えたりしてた。


 広く、浅く、全学年に関わる仕事を一人でしていたので、みーはー
修行にはぴったり。わたしの性格にもぴったりの仕事だった・・
と、今では思う。各学年のお母さん達はもちろんのこと、コーチや
事務局のみなさんともつながりが出来て毎週グラウンドに行くのが
楽しかった。もっと忙しく大変な仕事をしているお母さん達も、任期は
私の方が長かったので、全体の流れや、人の顔を知っているという点で
いろいろ一緒に活動してくださって、うろうろしているわたしを
適当に立てて使ってくれて充実した仕事ができた。


 仕事を一緒にすると、ほんとうにそのひととなりが見える。また
ちょっとプレッシャーのかかった立場に立つと、物事の考え方の癖や
価値観が浮かび上がって見えてくる。ひととのつきあいかたの勉強にも
なったし、なにより信頼できるたくさんのひとびとを見つけることが
できた。これからもずっと大切にしたいひとたち・・。


 からっぽになった書類の定位置は、ちょっぴり淋しく見える。わたしが
こんな仕事をしていたことなんて、みんなあっという間に忘れてしまうん
だろう・・そんなものだ・・。


 それでも忘れられないもの、消えないものは、このひととのつながり。
なんの形も残らないけれど、かけがえのないものが私の中には残って
いる。誇りを持って仕事をすれば、報酬はなくとも、宝物が残る・・。