撫子の花びらたち

すべての出会いは幸せのためであってほしい

不安(芋たこなんきん)

 一日経って、今日の分を観て、昨日の文章を読み返して、気がついた。
人間口に出して言わないと本当に分からない。ゆりこの夫、昨日の時点
では、ドイツについて来て欲しいのに、ゆりこのことを思うと遠慮して
言い出せないんだと思ってた。どっちでもいいよ、って言いながら、
本当は絶対ついてきて欲しいんだと思ってた。でも、今日の話を聞いて
ると、本当にどっちでもいいみたい。ついてきて欲しいのは欲しいけど
我慢しても大丈夫だと思ってるみたい。


 ゆりこは本当に悩んでる。ついていきたいし、仕事もしたい。でも、
本当に悩んでるのは、ここでついていかなかったら、あとで二人が
取り返しのつかないことになったら悔やんでも悔やみきれない・・と
思っているからだ。二人が離れることに不安を感じているのだ。そして
それは、相手が本当はどうして欲しいのかはかりかねていることから
くる、不安・・だろう。


 「そんなことであかんようになるの?」と町子からきかれる。そう、
離れていることが、別れることに直接つながりはしない。


 人の心は揺れ動く。一緒にいても、離れていても、ぴったり重なったり
かすかにすれ違ったりを繰り返す。それでも、相手の心と自分の心を
手を伸ばし合って、一緒に揺らせばまたおなじかたちで揺れてくれる
ことだろう。いつでも、てらいなく手を伸ばせさえすれば・・・。
不安に瞳を閉ざしさえしなければ・・・。


 青空の下で、並んでぐんぐんブランコを漕いでいた、子供のころの
明るさを愛しく思う。