撫子の花びらたち

すべての出会いは幸せのためであってほしい

外に出ると

 いつの間にか梅の花のつぼみがついている。少し色づいて
いるようだ。冬の中にも春が息づいている・・・。気づかない
うちにも、時は流れて、あたらしいものは動き始めていくのだ。


 午前中に、ちょっとした買い物をしようと車を出した。CDでも
聴きながら・・と思ったら、寒さのせいか接続でも悪いのか、
車のCDプレイヤーがCDを認識してくれない。あ〜あ・・などと
思いつつ、めずらしくカーラジオをつけたら、思いがけずいい話
が聞けた。なにが幸いするかわからない。


 「せつにおもうこころ」どんなことも一心に願い、思いつづけ
れば、道は開ける、願いは叶う・・と。


 恋い焦がれることと、一途に思い願うことは、似ているようで
少し違うなあ・・と思う。誰も、ひとところに留まっていることは
許されないのだろう。毎日出逢う物事でさえ、それは限りない出会いと
別れが滑らかに繰り返されているのに違いない。


 擦り切れたレコードになるのではなく、音を深めながら繰り返し
奏でられるバイオリンでいたい・・・。過去の幸せを数えるのでは
なく、日々の出来事に胸を震わせながらも、明日を待つ毎日でありたい。
 ふくらみかけた梅のつぼみをもういちど見上げて、そんなことを
考えていた。