撫子の花びらたち

すべての出会いは幸せのためであってほしい

レッスン

 予感はあるとしても、今、この場所で、突然に命がこときれるのと、
あと何ヶ月の命です・・と宣告されるのといったいどちらが幸せなの
だろう?別れがあると分かっているのなら、今以上の現実をおくることが
できるのだろうか?


 出会いと別れは数限りなく繰り返す。もういちど逢えるということは
漠然とした希望であって、約束をしても、誓ったとしても、逢えない時間は
ちいさな別れに他ならない。また・・というあのひとの優しい声が耳に残る。


 それでもこうしてただ毎日をおくることしかできない。美しい言葉と
とびきりの笑顔とであのひととのすべての日々を満たすことができればと
願いはするけれど、現実のわたしは意地っ張りで怖がりだ。ただ、あのひと
に出逢うたび、あのひとを想うたび、これは大切なレッスンだとようやく
思えるようになった。出会いと別れは繰り返す。そしてその中にいつも
大切なものが隠されている。驚き、泣き叫ぶだけでなく、その大切なものを
まっすぐ見つめ、記憶する事が出来るように・・。ブランコに揺られている
ような気持ちであのひとのことを考えている。