撫子の花びらたち

すべての出会いは幸せのためであってほしい

恋愛小説か(芋たこなんきん)

 いとこのお兄ちゃんに、自作の小説を見られた町子。しんじは、少し
読み、「恋愛小説か」という。ちがう、愛国小説や!という町子だが、
案外、しんじの言ってる方があたっているかもしれない。


 戦争ものなど大嫌いだったはずなのに、ジャンヌ・ダルクの物語、
「オルレアンの少女」は、見ていたな・・。革命なんか興味なかった
はずなのに、「ベルサイユのばら」は読破したなあ・・なんて思い出す。
戦争も、革命も、少女の心を通すと、あこがれの恋愛おとぎ話に
なりそうだ。まだまだ、自分の近くにはないから言えること。


 友達と、誰が好き・・なんて話をしているときに、「そうよ!」と
肯定した友達は、一歩先を進んでいるかに見えた。そして、せ・・せ・・
接吻?だろうね、訊きたいのは・・・。しんじに浴衣を届ける町子。
 ほのかな恋ごころは、やがて、体温を持ち、現実味を帯びてくる。
絵空事だった「好き」が、生きている毎日と繋がってくる。


 「お国のため・・っていうより、大切なひとを守るため・・かな?」
というしんじ。そんな優しいひとたちの大切な手を血で染めるような
世界にしてはならない・・・そう思う。