ひとりきりの出征(芋たこなんきん)
写真館にやって来た出征兵士。身寄りがないという。どうか出来
上がった写真を預かっておいてくれ、と頼む。
承知しました。必ず帰って来てくださいね・・と父。
たったひとり、どんな心を抱えて戦地に向かうのだろう・・。愛する
人を故郷に残して後ろ髪ひかれ旅立つひとも辛くてたまらないだろうが
どこにいてもひとり、戦死してもどこにも便りを届けようもないひとも
いったい何を頼りに心を奮い立たせ覚悟を決めるのだろう・・・。
ひとは、ひとと繋がりを持ちたがっている。ひとりで生きていくには
あまりにも人生は重すぎるのかも知れない。また、あるときは、一人では
自分の重さも感じられなくなってふわふわと浮遊してどこかに消えていき
そうな不安に駆られるのかも知れない。
人生はシーソーと言っていた町子さんたちだったが、シーソーにちゃんと
座ってられるように、重くなったり軽くなったり、手を差し伸べたり
引っ張ってもらったり、荷物を分けたり、拾ったり捨てたり、気づかない
うちにバランスを取っているのかもしれない。身近な人と、周りのひとと、
通りすがりの人とも時には・・・。
写真館は、幸せな思い出を残すための仕事・・と言っていたお父ちゃん。
幸せになるための、人の想いも受けとめてくれる場所だったに違いない。
町子に、「女の子で良かった」というおじいちゃんが気になりますね・・。