撫子の花びらたち

すべての出会いは幸せのためであってほしい

片付く(芋たこなんきん)

 英語が敵性言語と使えなくなるご時世。女学校でも英語の授業は
なくなる。英語の先生から和裁の先生にと変わった女性がつぶやく。
「どちらかに早く片付けばいいのに・・」。


 まだまだ身近には迫っていない戦争・・。町子たちが考えるといえば
甘いぜいたくなお菓子が食べたい!怒られても食べたい!という程度。
 

 ここまで来てもこんなものなんだ。いままで、この程度で済んだ戦争
しか日本は知らなかったんだ。もう、戦地で辛い目に遭ったり、戦死
したひとだっていたに違いないのに・・・。


 戦争ごっこは男の子達に任せて・・という女の子の言葉もあったなあ
と思い出す。大人だからといって戦争が大変なことになる・・と想像
してとめる・・というわけでもないんだ。はやく片付けばいいのに・・
と、じっと我慢してやり過ごそうとしていた人がいったいどれくらい
いたことだろう?我慢強く、慎み深い、普通のひとたちが、いつの間にか
取り返しのつかない戦争の渦に巻き込まれた時にどんな気持ちになった
ことだろう?


 これは、昔の物語ではない。普通のひとたちの物語だ。戦後がずっと
戦後でありつづけるために、普通のひとたちの心の痛みを感じたいと
想いながら観ている。町子さんが、「書かなあかん」と言った言葉を
受けとめて見続けようと思っている。