撫子の花びらたち

すべての出会いは幸せのためであってほしい

もうしまへんな(芋たこなんきん)

 試験の点の悪かった町子ちゃん、回覧はいつか知らん、試験も
まだ返ってきてない、と嘘をつきます。それでも無情に回覧は
やってきて、帰りたくない町子ちゃんですが・・。


 テストの点数もさることながら、平気な顔で嘘をついていたこと
に、大目玉をもらっている町子ちゃん。あのお母さんが、びっくり
するくらいしっかり怒ってらっしゃいます。階段で心配している
お父さんと孝子ちゃんが、思わず飛び上がってしまいそうになる
くらい・・。


 そこへ、めったに2階へなど登らないばあばばあちゃんが階段を
登って登場。町子に寄り添い、もうしまへん、そうやな・・と
助け船を出してくれる。泣きながら、もう二度と嘘はつきません、
ごめんなさい、と謝る町子。悲しくて、苦しくて、でも、ばあば
ばあちゃんに守られたそのからだと心は、温かい記憶を残している
に違いない・・。


 こどもに寄り添い、一緒に心を痛めてくれる人がいるということは
なんて安心できることなんだろう!子供にとって、そして、子供を
育てる人にとって・・。親だって、出来ることなら子供にきつく
言ったりしたくない。それでも、これだけは伝えなくては・・と覚悟
して怒っている、敢えて強く叱っていることもあるのだ。子供が
分かってくれますように・・ほんとに気づいてくれますように・・と
祈りながら・・・。


 親のしかり方を批判するのでなく、子供をかばって甘やかすのでなく
子供の気持ちに寄り添い、子供とともに心を痛め、子供に本当に
悪かったと気づかせてくれる存在・・。そんな人がそばにいてくれたら
子供を安心して叱ることができ、そして安心して許すことができる。


 許されること・・それは、心の帰る場所だ。帰る場所のある心は
明日に向かって歩いていくことができる。どこに帰ればいいのか
彷徨っている人たちが、ある日突然、行き場所を無くしてしまうような
気がしてならない。大人も、子供も・・・。