撫子の花びらたち

すべての出会いは幸せのためであってほしい

こころとからだ(芋たこなんきん)

 具合の悪い患者さんに、テキパキと説明して、怖がらせる
ことになってしまった晴子さん。健次郎さんが、めずらしく
頭ごなしに怒鳴る。「あほ、心と体はつながっとるんや」。
 教科書のように説明すればいいってもんじゃない。その人の
性格や、生活習慣や、家庭環境などを考えに入れながら考慮
する。そういう大きい病院では出来ないことをやるのが町医者
ってもんや、と。


 ちいさい病院に出来ないことで、大きい病院に出来ることは
目に見えることが多いけれど、大きい病院に出来なくて、小さい
病院に出来ることは、気づかないことが多い。目に見えないことが
多いから・・。心と体がつながっている、と、言ってくれる
お医者さんがいてくれる病院・・それは自分で見つけるしかない
ものなあ・・。


 かたや、からだが覚えるように、当たり前の光景には、心が
疑問を持つことも頭が考えることもない。女性蔑視をしている
わけでもないおっちゃんも、女の子が台所仕事をして、男の子が
それを当然と受け取っていることには何の疑問も持たない。


 町子さんは、きっぱりと言う。愛情を持って自分からすすんで
やる分にはなんの問題もないけれど、女だから当たり前と言われると
それは違う・・と。それって、すごく思う。私も思う。愛情の切れ目が
味噌汁の切れ目・・そうかもね。思うのは、料理をつくるのも愛情
だけど、作った料理を何のためらいもなく食べるのもある意味、信頼
なのかな・・ということ。家族の食卓はさりげない毎日にけっこう
さまざまな思想とスリリングな人間関係を孕んでいるのかも知れない。