撫子の花びらたち

すべての出会いは幸せのためであってほしい

お父ちゃん大好き(芋たこなんきん)

 写真館へ、幸せな気持ちを忘れんように残したくて
やってくる人々。その幸せを、写し出す大切な仕事・・。
 自分の仕事を、町子にそう語るお父さん。そして、町子が
物語を書くのも、幸せや、どきどきや、心の大切な動きを
書き留める、素敵なことや、大好きや、と言ってくれるお父ちゃん。


 記憶はほとんどないだろう町子の弟が、そんなお父ちゃんを
思わせるように、さりげなく優しいのがうれしい。お父ちゃんの
写真を見て、町子以上に、想い溢れて涙ぐむお母さんが可愛い。


大切なものは、しっかり握ってはなさんようにせんといかん・・
それは、ものだけでなく、ひとのことだけでなく、かたちないもの
も、同じこと。幸せを焼き付けた写真は、その場に残ってくれるが、
その幸せを輝かせ続けることは、簡単ではない。それでも、その
幸せを大切にしたいと思うからこそ、人は、写真を撮ったり、文章を
書いたりするのかもしれない・・・。