撫子の花びらたち

すべての出会いは幸せのためであってほしい

 いいよ・・(純情きらり)

 人生は音楽に似ている・・・


 みんなひとりひとり違うものをもっているけれど、同じ音楽で
同じ感覚を共有できる。はかない、その場限りに消えていくもの
だけれど、その曲をきくたびに、鮮やかにその記憶と想いを
蘇らせてくれる・・・。


 達彦が桜子の曲を演奏する。その曲が流れるラジオをみんなが
聴いている。桜子のことを、桜子との出来事を思い出しながら。


 何を思い出すのだろう?何を想うのだろう・・・。恋しくて
恋しくて、さみしい・・。何か自分に出来ることはなかったのか。
もっといろんなことをしたかった。もっといろんなことをして
あげたかった・・・。切ない・・・。あの時は憎んだけれど・・。


 そのすべての想いを受け入れる。自分の人生のすべてを受け入れる。
透けてしまいそうなはかなさと純粋さで桜子が微笑む
「・・・いいよ・・・」と。輝一のお母さんになるんだろう?と
言われ、生きる力を繋いでいる桜子だが、その優しい包容力は、何より
母なるものを感じさせる。海のような、光のような、大地のような、
私達を包み込んでくれる、自然のような母性を感じる。そして、
その自然が見せてくれる煌めきこそが、音楽の原点のような気がする。