撫子の花びらたち

すべての出会いは幸せのためであってほしい

緑が目に染みる(純情きらり)

 「人生に無駄な時間なんてないんだね」木漏れ日の中を
歩く、桜子と達彦。病を抱えていても、ふたり寄り添って
いられれば、それはそれで素晴らしい時を過ごしていると
思えたのに・・・。


 選べる選択ばかりで人生が出来ているなら、その人生は
幸せなのかもしれない。本当に大切なものには、順番なんて
つけられないし、何かを捨てて何かをかわりに得ることなんて
できない。かわりになんかならない。
 それでも、「選ぶとしたらおまえだ」と言った達彦の、桜子
への愛情と苦しみ。その愛情を感じるゆえの、桜子の苦悩。


 「よりによって・・」と笛子がつぶやく。本当にそうだ。これまで
懸命に生きてきた桜子。ようやく結ばれた達彦と桜子。あんなに
思いやりを持ってつきそう達彦。非のうちどころのない・・
と言えそうな二人なのに・・・。
 「ちゅらさん」で、おばあが言った言葉を思い出してしまう。
神様に選ばれたのかもしれない・・と。命の大切さを、人生の輝きを
決して忘れないようにと、大切なことを知らせるために、神様に
選ばれたひとなのかもしれない・・と。


 見舞いに来た冬吾。桜子の心の奥を覗き込むような、静かな
深いまなざしで桜子をみつめていた。「若いから回復するのでは・・」
と言ったあとに、お腹の子供に話がおよぶ。
 みんなが、いろいろに悩んでいたときに、何も言わない冬吾の
そのまなざしが影を映し、深く沈んでいくように見えたのが気にかかった。