撫子の花びらたち

すべての出会いは幸せのためであってほしい

わかってほしい(純情きらり)

 冬吾がめずらしくいっぱいしゃべっている。冬吾の言い分も分かる。
笛子の話を聞いてると、笛子の哀しみも分かる。どれだけ今まで心の
中に辛いものがあったか。みんなそうだ。だれも懸命に生きている。
様々なやりかたで、様々な想いを抱えて・・。


 何も悪いことをしていないのに「すみません」と言ってしまう達彦が
いいなあと思った。こんなことってあるよね。あとで、なんで俺が
あそこで気を使わなきゃいけないんだ!ってちょっと怒りたくなるけど・・。


 問題は誰に訴えるか。本当に自分の心をわかってほしい人は誰なのか?
自分の心の中で、これだけは伝えておきたいと思うのはいったい何なの
か。自分の心の中が本当に分かっているかどうか・・。


 桜子が達彦と向き合っている。どんなことを話すか、それが納得できるか
どうかは、達彦と桜子の問題。他のだれも口出しすべきことじゃない。
やさしいつもりで、おせっかいして、でもそれじゃあ・・なんて蒸し返す
のは、かえって迷惑。二人の中で、どんな風に納得するか。それだけ!


 桜子の場合はみんなの前でしゃべってるってのがすごいなあ・・。
 大勢のひとに向き合うためには、とてつもなく自分を見つめて、削ぎ
落として、剥き出しの心と言葉が晒されるような気がする。
 それは、笛子にも伝わるだろう。そして冬吾にも・・・。
 ・・・何か伝わってほしい・・わたしもそれを見たい・・と思っている。