撫子の花びらたち

すべての出会いは幸せのためであってほしい

音楽を通して(純情きらり)

 桜子の最後の授業。桜子を慕う子供達。桜子の弾いたピアノの音色と
ともに、桜子の思い出は子供たちに残るのだろう。桜子のことを忘れる
ほど、時が過ぎたとしても、ジャズのそのリズムを聴いたとき、子供達は
戦後の苦しい時期にも、いっとき声をあわせて歌をうたったしあわせな
ひとときを、その明るいひかりのような記憶を、どこかで感じるのだろう。


 ひとはかず限りない思い出と、思い出にもならないけれど、強烈な記憶の
かけらを自分のなかに重ね続ける。なにか、やさしいもの、しあわせな
もの、を残せるとしたらそれはうれしいことだと思う。


 ジャズピアニストとしての桜子が始まる。磯おばさんのドレスがうれしい。
カフェマルセイユでは、やくざな雰囲気をただよわせていたバンドのメンバー
が、プロの意識とバンドマンのプライドで、とても輝いて見えた。
 音楽も芸術もスポーツも国の壁を軽く乗り越えて、本当に魅力的なものは
誰の目にも魅力的に見える。「鼻をあかしてやろうぜ」という秋山の心意気。
久しぶりにわくわくする。勝ち負けでも、上下関係でもなく、認め合い、尊重
しあうことのできる関係。そんな関係が支える世界を、万国共通のさまざまな
ことがらを通じてつくっていけたら・・と願う。