撫子の花びらたち

すべての出会いは幸せのためであってほしい

寄り添う(日常編)

 ラグビーの土曜練習が始まった二男は、今朝は筋肉痛を訴えていた。
パニックに弱い彼は、涙を滲ませそうな勢いだった。おまけに、兄には
いじめられ続け、発言は軽視され、という、可愛そうな環境も手伝って
自分が窮地に立たされると、いきなり被害者意識が強くなる面倒な奴だ。


 おまけに反抗期に片足つっこんで、甘え方すら素直ではいられなくなって
いる。起きて来ない。きつい・・・という。土曜は友達の家に泊まりがけで
遊びにいって、昨日も特別に夜まで遊んで、なんのこっちゃいまさら!
と言いたい気持ちをぐぐぐっと抑えて、百歩譲って寄り添ってみる。


 頑張ったもんねえ。暑かったのに一度も休まなかったものねえ。ひとつ
上の学年の人たちと練習だったもんねえ。自分からタックルにいってたねえ。
なだめすかして、芝居掛かったよろけ歩きを支えながら食卓に座らせる。
 みそ汁の具が好みじゃないんで、食べれん・・というのも、あえて
見逃して、みかんあるよ、あんたが食べたいって言ってたからかっといたよ
と皮を剥き、食べさせたら、2個めでようやく気分が治ったらしい。
食べたくない・・といっていたごはんをなんとか食べて、友達と一緒に
学校へ向かってくれた。


 甘やかしてるのは百も承知。でも、子供ってそういうときも必要だって
ようやくわかった。甘えるだけ甘えて満足したら、親のことなんか
振り返らずに飛び出していく。上の子がひとりだけのときは、自然と
そうしてた。二人になってからは、こっちの余裕がないときは、どっち
つかずになって、上手くいかないときもいっぱいあったな。ひとは、やっぱし
ほんとのところでは自分がいちばんで特別でいたいって思ってるから
許せる範囲ではそのきぶんだけでも味合わせてやりたいとは思っている。
そうすると、不思議と、いうことも素直に伝わるようになるから・・・。
 分かるんだろうなあ、親の都合で言ってるのか、自分のために本当に
必要でいってるのか感じるんだろうね。


 寄り添う・・って余裕がないとできない。今日の純情きらりで、桜子が
達彦の傍らに座り、空を見上げていた。空や、海や、花・・・。私達より
ずっと昔から変わらずにそこにただ存在しているもの。人間は人間だけで
生きているような気持ちになっているけれど、ほんとうは、そんな変わらぬ
ものが寄り添っていてくれるから、生きていけるのかも知れない・・・。
ふとそんなことを考えた。