撫子の花びらたち

すべての出会いは幸せのためであってほしい

すべて・・・

 すべて、を、凡て、とあらわした合唱曲の詩があった。
「雲雀にかわれ」という曲だ。高校の合唱コンクールで、
歌った。はっきり言って、当時その意味はよくわからなかった。
でも、強烈な印象を受けて、今も忘れられない曲になっている。


 合唱曲ではポピュラーな「水のいのち」。歌ったことはないが、
その歌詞にずっと憧れていた「ひたすらな道」。


 今も、本当の意味はわかっていないかもしれないが、なにか
あるたび、そのきれぎれの一節がよみがえる。


ただひたすらにうけいれる
ゆるしあうものとゆるしあえぬもの
すべてをそのものに
まことにたかきもののなをよびかわしつつひたまいあがる
ぎりぎりのちからでふみたえる
・・・ぜんぶ、バラバラの曲からの一行ずつです・・・


 その曲を選んだのは、当時の指揮者をしていた、二つ上の先輩。
一年生だった私は、どんな思いでその曲を選んだのかなど、わかりは
しない。ただ、彼の瞳と指先をひたすらみつめて歌うことしかできな
かった。今もそれはわからない。聞こうにも、その彼も今はいない。
私が生まれて初めて人に渡したラブレターも、どうなったのか、今と
なっては、もうわからない。