撫子の花びらたち

すべての出会いは幸せのためであってほしい

笛子という女(純情きらり)

 このところの笛子さん、どうも評判がよくない。桜子に達彦のことは
忘れろって言ったり、冬吾に相変わらず、絵を描けとばっかり言ったり。


 少し前の笛子さんも、一部では評判が悪かった・・というか、なんか
すごく恐いように思われていた。庭の土掘った頃ね。あの後、どうやって
心をおさめたのか私としてはわからないままだったのよね。あの頃の
尋常では無い様子は、すごく共感出来た。こういう、狂いそうになる感覚
ってある・・と思ってたから。


 二つの時期の共通点は、冬吾が絵を描いてないこと。


 前回はひとりで突き詰めて、自分に向かって攻撃しているようだった。
今回はごくごく普通に生活しているようだけど、周りの人に、ポンポン
言っているなあ・・・。


 今日の笛子の行動で気に掛かったのは、冬吾の様子を桜子に見にいかせた
こと。笛子はどこかで、冬吾と桜子だからできるやりとりを認めているん
じゃないかと思う。桜子を東京に呼ぶときもそうだったし・・。


 以前、亨の目が見えなくなるということが言われたとき、取り乱す笛子を
慰め、落ち着かせたのは冬吾だった。あれから笛子は亨の目のことに一切
触れない。いま、そのことに心乱されているのは冬吾のほうだ。


 紙芝居の話が出たときに、唐突にあなたが描けば、と冬吾に言って、
ひんしゅくをかった(?)笛子だが、結果として、その紙芝居の一場面に
つながる太陽を描いて、立ち直ったように見える冬吾。


 おばさんになったように見えた笛子だが、冬吾に絵を描かせたい・・という
女の部分は、以前と変わっていないのかもしれない。桜子にしたって、
達彦を待つ、と意識するしないにかかわらず、前に進んでいかなきゃいけない
のは確かだし、笛子の言葉で進めた部分もあると思う。


 家の中には、誰かそんな役割のひとがどうしても要るんだよね。昔から
笛子は言いたくないことだって、みんなのために言ってきたもの。芸術家と
子供では、家は成り立たないでしょ!


 女の部分では、笛子は冬吾に意見したくないからな・・・。芸術家の部分は
自分は持ってないし・・・。余裕がないから、ストレートなおばさん発言に
なるのか、それとも笛子のしたたかな作戦のひとつとしての二面性なのか、
(冬吾との結婚生活のなかで身につけてきたふたりの距離の取り方ね)
笛子にこだわる私としては、少し悩んでみました。でも、全然意味ないかも・・
それでも、笛子がただのおばさんになって欲しくはないなあ・・・。