撫子の花びらたち

すべての出会いは幸せのためであってほしい

女将としてすべきこと(純情きらり)

 達彦の手紙を見たかねが倒れた。辛いことが続く。達彦が戦死した・・
というのは、まだ推測だ。だが、かねの病気は真実だ。


 待ちに待った15分、濃かった・・。身内についても考えた。


 たねは、やっぱり妹だ。達彦についての発言で「寝覚めが悪い・・」
とちょっぴり気にしてる。身内の気安さで、言い過ぎた・・のかな?
 その夫は、ぼーっとした顔してるくせに、結構ワル、っていうか、
妻が達彦の話してるのに、自分のことしか考えてない。
 みつこなる、親戚の娘登場。ああ、あの話だけ出てきてたひとですね。
昔って、こんなふうに、親戚の手が空いてる人が、手助けに来てくれて
たんだな。手伝ってくれるほどには、性格もよくて、役に立つ人なんだろう。


 そんな身内の中にあって、かねの側に寄り添う決心をした桜子って
すごい。彼女の、ひとを思うひたむきさには頭が下がる思いがする。
達彦を大切に思うように、達彦と同じ気持ちになって、かねを大切に
思っている。彼女の成長は目を見張るほどだ。かねに何も知らせずに、
ただ、そばにいようと思っている。(いてあげよう、じゃないんだ)


 そんな桜子に、いきなり冷たいかね。桜子としたらたまらないだろう。
でも、かねは、決心したんだ。女将として、親として、自分にはすべき
ことがある・・残された時間で、きちんと整えておかなければならない。


 桜子がかねに言う。達彦さんは、かならず帰ってくる、その日を
いつまでだって、女将さんと一緒にあたしは待ちます、って。かねは
どんなにうれしかっただろう。もし、限りない時間があって、自分が
責任を持った上で、この桜子と寄り添えるのなら・・・。
 桜子を解放するために、あえて、考えたくないこと、口にしたく
ないこと、「息子の死」を告げるかねの心もまた、どれほどの涙を
流したことだろう。それほどに、桜子のことを思っている・・。


 桜子は、かねを実の親のように大切にしている。でも・・いつの時代も
子供の思いよりも、親の思いのほうが大きいのだ。


 陸奥A子さんの作品「朝顔の朝」を思い出しました・・・。

朝顔の朝 (ヤングユーコミックス)

朝顔の朝 (ヤングユーコミックス)