撫子の花びらたち

すべての出会いは幸せのためであってほしい

真実を告げること・秘すこと(純情きらり)

 キヨシが達彦からの手紙を桜子に渡した。その状況から
達彦の生存がいかに絶望的なことかということとともに。


 ショックを受ける桜子。考えちゃいけないと思っていたのに、
もう、歯止めがきかない、涙が止まらない・・と。無理しんで
いい、店も休みなさいという磯に、「店には女将さんがいる。
休んだら変に思う」と、山長にでて、気丈に振る舞う桜子。


 でも、どこからか漏れてしまうのよね。気持ちは一生懸命
なんだけど、細心の注意を冷静な精神で払いでもしなければ、
よっぽどの大きな器か覚悟を持っていなければ、いつしか
漏れてしまうのよね。ただでさえ、どこかでみんなが想像し、
気にかけていることだからなおさら・・・。


 キヨシもつらい役だったよね。手紙がなければ告げることも
なかったかもしれない。自分が手紙を一生守り通せるのなら
手紙とともに秘密として守り通したかもしれない。ただ、この
達彦の手紙を自分が持っているわけにはいかない。達彦からの
真実を自分の死によって、桜子に伝えられなくなってしまっては
いけないから。達彦が死を覚悟して桜子に手紙を書いたという
のは、真実なのだ、そして、それは、達彦の愛情なのだ。(でも、
それから先は、何処まで行っても推測でしかないのだけど)自分も
またこれから先どうなるかわからないキヨシにとって、願うのは、
桜子の幸せだけだ。磯も言ったように自分の人生を自分の為に
生きろ・・と。達彦もまたそうだったのだろう。愛する人が自分の
ために縛られた人生を送るのは、耐えられない。どうぞ、自分の思う
ままに、幸せになってくれ、それこそが、自分の幸せになるのだから
と。俺が幸せにしてやる、一緒に幸せになろう、と言えたらどんなに
いいだろう。


 桜子は、女将さんに「時期をみてはなす」と、手紙のことを
隠している。キヨシから、達彦は元気だったと聞いてからの、かねの
元気な様子。こんなにも、心の支えだったんだ、達彦は。手紙を
見つけたかねは、そのことには触れずに桜子に、達彦が生まれたとき
のことを話す。そして、倒れる・・。


 真実を伝えるのは、むずかしい。相手のためを思っても、真実そのもの
が、つかみどころがない。自分の胸の中に何かを秘すこともまた難しい。
秘密を持つことも、微かな希望の灯を絶やさずに持つことも。桜子が
苦しんだように、それ以上に、かねの苦痛が感じられた。何も考えずに
いられることが、かえって幸せ・・・気を失ったかねを見て、一瞬そんな
ことを考えてしまった。


・・・・・達彦さんについて・・・・・

 桜子が、「死ぬ間際のひとが、こんな綺麗な字で、こんなかっこいいこと
書くわけない・・・」って言ってたよね。わたしも、そう思いました。紙は
ぼろぼろだったけど、字は乱れてなかった。思いやりがあって、几帳面な
達彦のこと、用意して肌身離さずもってたのかな?でも、桜子のこの直感、
信じようと思っています。絶対どこかで生きてる!


・・・意地でも先のあらすじを見ない(なんかもう見られない・・)私・・