撫子の花びらたち

すべての出会いは幸せのためであってほしい

本当の嫁入り・・笛子・・(純情きらり)

 やっぱり決心したのは笛子でした。「あたしは良い妻や良い母に
なるために冬吾さんと一緒になったんじゃない。冬吾さんっていう
男に惚れたから結婚したんだ!」


 な〜んて潔いんでしょう!笛子、男らしいぞ!って違うって!!


 善は急げ、とばかりに、あっというまに東京へと出ていく、冬吾
と笛子と杏子。この家を初めて出ていく・・という笛子。この家で、
お父さんとお母さんにずっと守ってもらってたんだね。今日がほんとの
嫁入りだ・・とつぶやく笛子。


 この部分、わかるなあ・・。この家の長女として頑張ってきた笛子。
自分が育ってきた、この家とこの家のやり方を守っていくことによって
じつは、自分自身が支えられてきたこと。みんなの世話をして、みんなの
ことを守っていると思ってきたけれど、じつは、自分もまたみんなに、
有森家に守られてきた、ということ。笛子が一番家にこだわってきたのは、
長女ということももちろんあるけれど、それは同時に、親から一番多く
のものを受け継いだ、ということでもあるのだろう。愛された記憶と
家族を大切にする場面を一番長く受け取ってきた笛子ねえ。だからこそ、
家族のためにうるさがられるほど、自分がやらなくては・・と気負っても
いたのだろう。・・一番寂しがりやだったのは実は笛子かもしれない・・。


 冬吾さんは、やっぱり今日もなにもしませんでした。やさしいけれど、
なにも決めない、なにもしてくれない男。でも、本当のところ、彼はなにも
こだわっていないんだろうな・・。絵を描くこと以外。その絵を多少犠牲に
しても、笛子と一緒に岡崎にいたということは、笛子とともに生きるという
ことが、彼の決心であり、自分から言い出さなかったことは、笛子への愛情
の方が、絵より上、ということの証だったということかしら?


 彼は彼で、「笛子は自分を生かしてくれる」というなにかの確信を得て
一緒になったのではないかと思う。彼女を信じてついていこう!と。
 男と女って、知らず知らずのうちに補い合っていると思う。それから
いえば、笛子と冬吾は、「芸術を極める夫とそれを支える妻」でもあるけれど
「嵐を乗り越えて雄々しく立つ笛子と、笛子に守られて好きなことに没頭
する冬吾」なのかもしれないな・・。


 笛子ねえ・・。実家を守ることに関しては一旦肩の荷を降ろしたけれど、
嫁入り先でやっぱり家を守ることになるんじゃない?実は有森家の方が
楽だったりして・・・。てなことにならないように、今度こそは冬吾さん
しっかりしてくださいよ。って頼りにならないのは、見え見えのような気が
する。・・一般的なことは期待してないけど、大切なことはひとつだけ。


「笛子ねえ泣かしたら承知しんからね!!!」