撫子の花びらたち

すべての出会いは幸せのためであってほしい

笛子さん!(純情きらり)

 迸る笛子さんの感情。今まで抑えに抑えていた想い。意地っ張りの
兄弟思いのおねえさんが、一人の恋するおんなに戻った一瞬でした。
と、いいつつ、どうしても気になっちゃうのよね。絵のためなら、常識
など吹き飛ばしてしまいそうな冬吾さん。笛子さんの瞳には、冬吾さん
しか映っていないというのに、抱き合っているときですら、冬吾さんの
瞳はどこか違う世界を映しているように見えて仕方がなかった。


 その場面、喫茶店の前の物陰からふたりの姿をみて笑う桜子は、
小悪魔かいたずらものの妖精、たとえば「真夏の夜の夢」のパックの
ように見えた。そう、このごろの桜子の笑顔が、賢しらで鼻につくのは、
まさにこの点であった。自分がすべてをお膳立てして、自分の思う通り
にことが進んでいるわ、とほくそ笑んでいるような顔。やっていることは
こどものくせに、大人のすることが妙にわかっているようなしたり顔。


 桜子の素の顔が見えたのは、喫茶店で、冬吾さんが女のひとたちに
取り囲まれたときにみせた、嫉妬の表情でしたね。あの一瞬は、笛ねえの
ためではなく、自分の心の動きに見えました。笛ねえ来るまで大人しく
(ふてくされながら)待ってるし。意外と、自分ではたいして動かない
くせに、人のためとなると、必要以上に(今日のところはまあいいとして)
がんばっちゃうタイプなんでしょうね。おせっかいおばさんのDNAが入って
るのかな?


 笛ねえと冬吾さん、よかったねえ・・となぜか素直に言えない私。
別に、嫉妬してるわけじゃなくて(だって達彦さんのほうがタイプだもん)
笛ねえのこれからが何となく心配で心配で・・。でもまあ、何が起こった
としても彼女はきちんと生きていくことだろう。彼女の張り詰めたいとを
緩めたという点ですでに冬吾は役割を果たしているのかもしれない。

 
 一度緩めたいとを、再度、自分の意志で程よく張っていく彼女の
奏でる音色をゆっくりと鑑賞することとしよう。笛ねえ応援してるからね!