撫子の花びらたち

すべての出会いは幸せのためであってほしい

続いてないけどその2

 朝、目覚めるとあの人のことを考える。カーテンを
開けるのと同じくらいごく自然に。机の上の写真立てを
手にとって、愛しい家族の写真にキスをして机の上に
戻すように、それくらいの間あの人のことを考える。その
想いが血管を通ってその日のわたしをあの人に染めて
しまいそうだ。考えていないときも、私の中を流れている。
思考が止まった時に、不意に香水のようにたちのぼる。
そして、しばらく私をはなさない。こんなに自由にして
いるくせにまるで囚われの身のようだ。束縛して!と
叫びたくなる。そんなこと望んでもいないし、望んでも
叶えられるわけもないのに。