撫子の花びらたち

すべての出会いは幸せのためであってほしい

誘(いざな)い

急に春めいた日があって
初夏が恋しくなった
桜もまだだというのに
日差しが夏を思い出させるから


少し前にショーウィンドウで見かけたけれど
まだ早すぎると思ったワンピースを買った
なにがまだ早すぎるの?
だって夏はおろか春の計画すら立っていなかったから
でも今日は壁のたかいところに架けられていた
その水玉のワンピースが私の方へかすかに裾を揺らした気がして・・


ノースリーブのワンピースに
半袖のサマーセーター
7分袖の綿のカーディガン
あたらしいワンピースが幾通りものシチュエーションを想像させる



ドライブに行って
昼間はどこを歩こう
そして夜にはレストランで・・
ありもしない計画を勝手に想像しながら
洋服ダンスから何度も取り出してはワンピースをながめる


突然のあなたのからの電話
「桜が咲いたらふたりで出掛けよう」


あら?これは魔法のワンピース?
風も吹いていないのにワンピースの裾がまた少しだけ揺れたような気がした