旅ごころ
晴れた日はどこまでも高く青空が続くくせに
曇った日には天井が低くなったように薄暗い
冬って私より自分勝手な気がする
雨は降りそうにない、でも青空は出そうにないこんな日
とりとめもないことを考えるのにちょうどいい日
北の国では10時過ぎに陽がのぼって
午後3時を過ぎる頃にはもう日暮れが訪れるらしい
なんて長い夜
明るいような暗いような夢の中のような空を眺めて何を想うのだろう
あのひととそんな国を旅したとしたら?
はじめの日は明るい間中散歩をしよう
街中の何もかもを覚えるくらい気にいった通りはなんども通って
二日目はレストランに出かけよう
お気に入りのドレスを着て窓辺に花のある席を予約して
窓からの景色とそこでしか食べられないものを心に焼きつけよう
三日目は美術館を訪ねて
誰もいない時間から誰もいなくなる時間までふたりで過ごそう
閉館の時間に美術館にさよならを言って
だれもいないその庭でキスしてから帰ろう
そして・・
陽の落ちたすべての時間はずっとふたりでいよう
ふたりでいることを確かめ合って過ごそう
ストーブの上のお湯が沸いてた
大きな赤い花模様のマグカップにカフェオレをつくる
とりとめのない想いなのかな
ちいさな野心なのかな
自分の心の中を覗き込んでふふと笑ってみる
旅行には滅多にいかない
でも心はいつも旅をしている気がする