撫子の花びらたち

すべての出会いは幸せのためであってほしい

リアル

耳元であのひとが呟こうとする
言葉が言葉になる前にその温もりを感じて
もう何を言おうとしているのか伝わってくる
「逢うまで言わないでおこうと思ったんだ
 こうしてあなたに直接伝えたかったんだ」


逢えない時の言葉は宙を彷徨い
その熱がなおさら空々しく途方に暮れてしまう
かつては逢えない空白を埋めるように
必死に伝えあったこともあったけれど
そのどれもが最後には結局苦しみに満ちた切なさで
切れ切れになってしまった


美しい言葉は真実を伝えるものだ
記憶や希望も悪くはないが
今目の前にある真実に叶うものはない


見つめ合うこと
手を取り合うこと
そして・・・


抱かれながら聞く愛の言葉は
温かな日差しのなかに吹く柔らかな風のようで
このうえなく優しく心地よい