撫子の花びらたち

すべての出会いは幸せのためであってほしい

思い出す(カーネーション)

昨日のカーネーションを繰り返し観ている


前日の北村の「死んだ」
一瞬、組合長かと思って(年齢順ってか時代の変わり目だから?)
名前も言えないってことは「周防さん!」って思ってたら
今日わかったことは「亡くなったのは周防の奥さん」
それは・・複雑
聞いたからってなにがどうなるわけでもないけれど湖に小石ひとつ・・か


何回思い出したやろ
一緒に居った時間より
思い出してる時間の方が
ずっと多なってしもうた


ずいぶん久しぶりに出てきたふたりの映像は
まるで夢に浮かぶ景色のようにモノクローム
その中でふうと色が差すのがふたりの温もりを感じさせる場面
交わす言葉が白黒なのに指の温もりだけが色を帯びているように・・・


どんなに遠くにいっても
どんなに深くに沈んでも
決して消えはしないんだ
心につよく想ったその想いは自分の中のどこかで息づき続けている
あるときは息をひそめて、あるときは胸を高鳴らせるほどに・・・


後半は安岡のおばちゃんとのエピソード
昔、安岡のおばちゃんの家で食事をよばれていたことを思い出す
たべものを一緒に食べることはどこか愛を交わすことに似ている



あの子はやられてあないなってしもうたと思ってた
せやけど違かった
あの子はやったんやな
あの子がやった


戦争というものはどれだけの傷をひとに負わせるのだろう
傷つけられたひとが傷つくのはもちろんのことだけれど
傷つけたひともまた無傷ではいられない



おばちゃんが堪助のことをそう話したとき
糸子がなにも言わずに下を向いて涙を流し出す
ああ・・
ここにも消えない心はずっと生きていたんだ
堪助をどれだけ大切に思っていたか
堪助を傷つけたことをどれだけ悔やんでいたか
自分の傷は自分で癒すしかないけれど
自分が傷つけた傷が癒えないままにその相手と別れることによって自分に残る傷


怒ることも泣くこともせず
ただ「腑に落ちた」ような顔をして話す
安岡のおばちゃんが神々しく見えた
糸子に伸ばすその指先も優しく思えた



今日のカーネーションで一番印象的だったのは
安岡のおばちゃんが
「私はもうみんなが向こうでまっててくれるからなんも怖いことなくなってしもた」
というのに千代かあさんがほんまやなあ・・と笑っていた場面
糸子が
「おばちゃん?それ笑ろうていいこと?」と尋ね
わたしらがまだ分からない境地があるようですとつぶやくあたり
いつの日かそんな風になりたいな
その日まで想い出を重ねながら
そして思い出しながらしっかりと生きていけたなら・・・
そう
一緒に居った時間より思い出す時間の方が多くなる出来事
それは自分がずっと大切にしたい愛しい出来事に違いない
たとえそれが
甘い想い出であっても少しだけ苦い想い出であったとしても・・・