撫子の花びらたち

すべての出会いは幸せのためであってほしい

いつもそばにいる

「きのう絶対部屋になんかいた」と長男
「あなたってそういうの感じるほう?」とわたし
「金縛りとか、気配とか・・」と長男
「わたしそういうのは感じないなあ」とわたし
「僕も金縛りはある」とダンナ



「そういえば・・明け方まお(うちにいた柴犬の名)の夢みたよ
 お座敷の外の庭に丸くなってた
 日だまりみたいだった」とわたし



みんなの表情が一瞬に変わる
彼が逝った去年の夏を思い出す
長男が起こした事故の次の日に逝ってしまうかと思った彼が
長男が落ち着いくまでそのいく末を見守るかのように耐えた彼
毎日散歩した裏山
庭で日陰を作ってやった数日間
それぞれの記憶が浮かび上がる


庭のタイサンボクが咲いている
いつもは隠れて見えない花が
今年は外からひとつだけ見える
家の前の道路から高く高く見上げる
まるで昼に光る柔らかい月のようだ
庭にタイサンボクを植えたいと言った母を思い出す


いつもそばにいてくれる
愛する人
愛してくれる人は
愛すべき人は
それと気づかずにいつも心のそばにいてくれる