撫子の花びらたち

すべての出会いは幸せのためであってほしい

その日の朝

公立高校受験の日
親子していつにない早起きでお弁当の準備と今日の準備
昨日までのうろたえぶりからすれば落ち着いた様子の次男
まな板の上の鯉状態?
まあ友人たちと連れ立っていけるのもありがたい


奇しくも今日は母の命日
炊き上がったご飯をお仏前に供えに行かせる
「ちゃんとお願いしておきなさいよ」と声をかけると
「もう拝んだ」
これまたいつにないことでこの際、御利益に期待


ようやく送りだして家にもどると
昨日久しぶりにバイトが休みだった長男の部屋の前に
ビニール袋が置いてある
中身は衣類のよう
洗濯もの?今日のバイトの用意?
洗うの?と聞こうと思って長男の部屋を開けるも
熟睡中で声をかけるのも忍びない
仕方ない・・と脱衣所に持って行き中身を確かめる


中から出てきたのは着替えの下着とラグビー用の一式
かすかに湿って漂うのは懐かしい土の匂い


懐かしい?!!
そう感じた自分に驚いて思わず鼻の奥がツンとなる


春休みはバイトに明け暮れて
その合間はすべて遊び倒して
何をやっているのだか!という長男が
ひと月ぶりくらいのお休みの日に
高校のラグビー部の練習に顔を出していたとは
ましてやウェアを着てグラウンドに立っていたとは思いもかけなかった
毎日土まみれになって
傷をつくり、膿まで出して、
卒業するときにはもうたくさん!と言っていた彼が・・・


今にして思えば素晴らしき日々
なにより、かけがえのない友人たちと出会えたあの日々


どうぞ
今日、自分の道を切り開こうとしているひとにも
その望む扉が開きますように・・・
初めて自分で選んだ一歩が思う方向へと進めますように・・・


祈るしかない母としては
いまもなお親不孝娘ではあるものの
大先輩の母のお力まで借りようと手を合わせたりしているところである