撫子の花びらたち

すべての出会いは幸せのためであってほしい

いいところを見つけないと

中学生のラグビー
試合をみながらなんだか春の靄のような気分になっていた
いったいこの子たちは何がしたいのだろう?
どんなプレイをしたいのだろう?と歯がゆい想いでみていた
そして応援席から飛ぶ声を耳にしながら
いったいどんなチームになってほしいのだろう?
どんなプレイをさせたいのだろう?と思う
果ては・・いったい私はどんな子供たちをみたいのだろう?と考える


負けては悔しくて、勝ってもすっきりしない試合を後にして
Bチームの応援へ
技術的にはまだまだ、時折気持の入ったプレイに微笑・・というところ
そんな中
ラインアウトに並んだその時「○○!手をあげろ!」の声が聞こえる
そして、その小さなジャンパーは、渾身の力で手を伸ばし
見事相手ボールを指の先にとらえてマイボールにする
なんだか涙が出た
簡潔な指示
素直な対応
そしてその時点で一番やるべきことの徹底




声の主はそのジャンパーのお父さんだった
ラガーマンにして指導経験者
いやあ・・私の勝手に選んだ今日のハイライトですというと
「いいところ見つけないと・・」と、笑顔で返してくださった
その言葉には、小柄な息子さんを大事に見守り育てている愛情が感じられた
そしてそれはいつしか忘れていた大切なことを思い出させてくれた


今日の試合の中にも誇るべき良いところはいっぱいあった
停滞する試合の空気を破ろうとするかのようなキャプテンの意地の独走トライ
それを受けてみんなでつなげたトライ
怪我で試合に出られなくても仲間を励まし続ける声をずっと出し続けていた子
試合に出ていたかと思ったらピッチを出たとたんに仕事をしていた子
以前よりも簡単に割られなくなった粘り強いディフェンス
「いいよ!いいよ!」と、肯定的な声かけをしていたコーチ
荷物を運ぶのに仲間をいたわって交代していたチームメイト


やんちゃで一筋縄でいかない子供たちと
繊細にしてシャイで口の悪いコーチたちは
今に始まったことではなかったな・・と思いだす


ラグビーをするのはこどもたち
指導をするのはコーチの皆様方
そしてわたしは・・・


ただの母親であり、かれらのサポーターではなかったのか?
彼らのラグビーを見ることを楽しませてもらっているだけ
そして我が子と仲間たちの無事の成長を祈っているだけ
それ以上になにがあったのかしら?とストンと憑き物が落ちる


毎年毎年、チームも違えば、人間も違う
花の咲くときも、花の咲かせ方も違う
どこかで無意識のうちになにかと比べていなかったか?


ラグビーに関しては子供たちとコーチにお任せする
私の原点に立ち戻れば・・・


このクラブのこのなにものも排除しないところが好きなのだ
そこにそうしてさまざまな形でいることを許す子どもたちが好きなのだ
願わくば・・・
その自分の存在がこの仲間の中で大切なことに気づいて欲しい
ひとりひとり違う個性がここにある意味があることを漠然と感じてほしい
だからこそ・・
その子その子の「いいところを見つけたい」のだ


いいところだけ伸ばしていけばいい
すくすくと伸びてからおおらかに形を整えればいい
やりたいことを試すことのできる場所であってほしい
「自分を出せる」ことが一番大切だと思うから
まだできてもないプライドをへし折って強くするよりも
プライドなどどこかそこらへんにポンと置いておいたまま
強くしなやかな心とからだを持つひとになってほしいと思うのだ