たからもの(ちりとてちん)
落語が何より好きだけれど、落語より大切なものがある。
そして、大切なものに気づくのは、大切なものをなくして
からのほうが多い。
「ようとおる声やなあ。大事にしいや。おまえの宝もんや」
その言葉もまた草々の宝物にちがいない。草々が、酔った
草若に掛ける「師匠・・」の声がなんとも優しく切ない。
草若は、草々に落語や自分なんかにこだわらずに本当に
大切なものを大事にして欲しいと思っているに違いない。
しかしながら、いまの草々にとっては落語以外に大切な
ものなんて考えられない。それ以外ない。・・そして思う。
これくらい何かを大切に思う心がなければ、人生における
本当になにより大切なものも見つからないのではないか・・
と、ふと考えたりする。