撫子の花びらたち

すべての出会いは幸せのためであってほしい

きゅーっと一杯(ちりとてちん)

 一升瓶からコップにお酒を注ぐ不器用な手も、思わず当たった
肘も、ちいさな子供の心だ。はじけ散った酒瓶が切なかった。思惑
は実現出来なかったけれど、喜代美の心はお父さんには伝わった。


 親子は・・近いからこそ不躾でストレートだ。性急でイライラで
悲しくて淋しい。父が、涙を浮かべていることなど、想像すること
も、覗き込むこともない。親に背中を向けられた子供は、その淋しさ
に怒りをぶつけて自分を支えるので精一杯だ。
 

 親子だから・・親子なのに・・・。愛していてもそれを伝えること
感じることは、いつも難しい。