撫子の花びらたち

すべての出会いは幸せのためであってほしい

若い頃

 子供を育てているとき、自分の若い頃の気持ちを思い出す。
友達と上手くいかなかったころ、自分のことしか見えていなかった
頃、何かあるとそれだけしか考えられなくなってしまった頃。


 小さい頃は、大人から見たらなんともつまらないことをいつまでも
抱えて悩んで不安になっていた時期がある。だいぶ大きくなってからも
人に嫌われること、仲間はずれにされることに、不安を感じていた
時期もある。


 結婚してから・・子供を持ってから・・自分の大切なものは何なのか
と自信が出てきて、ようやく落ち着いていられるようになったところも
ある。自分の居場所、帰る場所、待っていてくれる人、必要としてくれる
存在があるということは、人間にとって幸せなことだ。


 そして、新しい人間関係を築こうとしている子供達にようやく何かを
伝えたい・・と思う余裕が出てくる。いままで、自分の子供の無事を
考えるだけで精一杯だったのだけれど・・。同時に、昔母親から言われて
いたことのその奥にあった母親の想いがようやく分かるようになって
きたような気もする。


 女として以上に一人の人間として生きること、自分の仕事や考え方を
持つこと、男の子とのつきあい方についても・・。


 まだ、ボーイフレンドもいないころから、男の子と仲良くなることは
大歓迎だけど、特定のひとと深くつきあうことは・・と言っていた母の
気持ちがようやく分かる。それは何も大人が先回りして変な心配をして
いたわけではなく、(それ以上に)考えのできあがらない若いうちに
ひとりの異性とばかりつきあっていると、自分の世界や考え方が狭まって
しまうことがよく分かっていたのだと今になると理解できる。


 若い頃にもどれはしないけれど、子供達のおかげで若い頃を想い起こす
ことはできる。何があったというほどの特別な青春時代ではないけれど
やはりあの頃があったから今こうしていられると思う、わたしの大切な
青春時代ではある。そして、母が、私の友達がくると何だかはしゃいでいろ
いろおやつをもってきたりしては、ちょっぴり話に入りたそうにしていたこと
みんなが帰ったあとにあ〜あ、疲れたぁなんて言って、あの頃の私はそんな
子供相手に疲れるほど気を遣わなくてもいいのに・・なんて思っていたこと
なんかも一緒に思い出す。
 ・・わたしってそんな母親に育てられた母親なんだ・・あんなこといって
あの頃の母もきっとそれなりにわたしの友達と時を過ごして幸せな気分
だったんだ・・って思うと、あの母の笑顔が急にあざやかに思い出されて、
何だかとても懐かしい気分にもなった。・・もうすぐお盆です。