撫子の花びらたち

すべての出会いは幸せのためであってほしい

引き受ける(どんど晴れ)

 織部の器が割れていた。分からないという夏美、口ごもる彩華。
彩華の様子を見て、こうじの言葉をおもいだし、自分が割ったと言う
夏美。嘘ついてたなんて!という仲居たち、何かを感じてこの話は
おしまいにしようというひとたち。


 夏美ちゃんったらまたおせっかいして彩華をかばっちゃって・・
と、思わないでもないけれど、夏美は以前よりすこし大きくなった
ような気がする。かばった・・というより、彩華の失敗を自分が
引き受けた・・という気がする。何かが起こった時は、誰かがそれを
片づけなければならない。何もなしに、それが元通りのかたちに
なることはないのだ。何らかの、責任や少なくとも手間が要る。誰かが
誰かに迷惑を掛けた時は、必ず誰かがその後始末をしてくれているのだ。
 ほったらかしにして事が済んでいるわけでは決してない。


 彩華が、自分の部屋に戻って「これでいいのよね・・」とつぶやく。
自分の野望のためには手段を選ばない覚悟をしてきたであろう彼女が、
思いがけない失敗をして、思いがけずそれを夏美が引き受けてくれて
たじろいでいる・・。もし、夏美を陥れるためにお皿を割って罪を
かぶせたとしたなら、こんな気持ちにはならなかっただろうけど・・。


 女将もまた・・「これでいいのよね・・」と悩みながら道を歩んで
いるようだ。この話はおしまいにしましょう・・といったとき、彼女には
事実は見えていたに違いない。「これから隠すようなことはしないで」
という言葉は、夏美に言っているように見せかけて、彩華にも言っていた
のではないかと思うほどだった。


 そんな彼女がカツノのところにいくのに伸一をを連れていったのには
訳がある。伸一は、まだそんなところまで見通してはいないから・・。
「なんでこれではいけないんだ!」と、自分なりの精一杯をやっている。
そして、彼の言う「柾樹が戻って来なければ、夏美は加賀美屋にはなんの
縁もない女なんだから」というのはそのとおりだ。


 問題は・・・柾樹が戻ってくる!って決心したときだよね。
ハクサンチドリ・・・懐かしい花ですね。まったく、こう繋がるところが
ドラマ・・だし、精一杯やってる人だけがもらう運の強さ・・だよな。