撫子の花びらたち

すべての出会いは幸せのためであってほしい

心のひだの奥に(どんど晴れ)

 大女将がこれは自分が決める・・と、夏美の再びの女将修行を
許した。女将は、渡り廊下で呼び止められた夏美にわたしは賛成
しかねる・・と宣言する。一度目の映像は、夏美側から・・雷鳴
をバックにとても高圧的、威圧感。二度目の映像は環側から・・
環の心の苦悩が滲む。女将として、大女将に言われて、それでも
私はそれだけじゃすませない・・という感覚の一回目に対して、
二度目はどうしてこんな目に遭わなければいけないのか・・という
環個人としてのどうしようもない苛立ちと悲しみが滲んでいたよう
に見えた。


 女将として、加賀美屋に仕えてきた環・・それは、自分の家族の
ため・・という部分もあったことだろう。大女将も、嫁として嫁いで
来てからの女将・・だという。大女将にもその時々の心の中の葛藤が
あったのだろうか。心のひだの奥に、いろいろなものを隠し、湛え
それでも今静かにたたずんでいるのだろうか・・。自分が生きて来た
中でいつか乗り越えてきたのだろうか?


 夏美の感じる心、素直な物言い、それが人に伝わる伝わり方・・。
そういうものを平治が、特別なものを持っていると評価している。
 しかしながら、いつも誰でもどんなことでもそれですべてのひとが
気持ちよくいられるとは限らない。夏美がどんなに邪気なく接したと
しても、相手からもそう接してもらえるとは限らない。心のひだの奥
には、そのひとにしか分からない痛みも隠れている。


 痛みを感じるからこそ・・淋しさも、優しさも、心に深く届くのかも
知れない・・・。