撫子の花びらたち

すべての出会いは幸せのためであってほしい

触れてはいけないもの(どんど晴れ)

 夏美ちゃんピ〜ンチ!


 だってえ・・お客さま着いた時、だれもいなかったしい・・敷物
しくなんて、だあれも教えてくれなかったしい・・なのに仲居頭さん
ったら、あたしのせいだなんてひどいわっ!!!


 なんて言っては女将修行は出来ないのよね。仲居頭に責められて
思わず「すみません!」って謝るあたりは、純きらの桜子より、よっぽど
古き良き時代の女っぽいじゃんって。っていうか、社会に出たら、昔は
そうだったよな・・と勤め始めた頃を思い出す。容赦なく覚えることは
やってきて、これくらい分かるよね・・って言われて、やる気がないなら
やめれば?って言われて、少なくとも知らないことは恥ずかしいことで
教えてもらわなければいけない立場だった。で、わかりもしないことに
くちばしをはさむな!といわれても当然だった。夏美が調理場にいきなり
踏み込んで板長に怒鳴られたのは、ある意味、そのはじまりを知らせる
象徴的な場面だったと思う。学生さんの世界の通用しない世界というのが
「働く」ということだったと記憶している。桜子がまるっきりのお嬢ちゃん
だったのに比べれば、パティシエ修行をしていたぶんだけ夏美の方が
大人ということなのかな?(もちろん、性格の違いもありますが・・)


 その世界ならではの、「絶対」というものがあるのだろう。理屈では
なく、すべきこと、守るべきもの・・。女将が心を決めて夏美の面倒を
見ているのも、大女将が絶対というものだからだろう。自分が自分の意見を
通すためには、まず言われたことを完璧にこなさなければ話が始まらない。
目の前の仕事を精一杯やってから・・そうすればきっと次の扉を開けることが
できる・・・。


 イーハトーブは、お決まりのもうひとつの世界。ヒロインがモテモテなのも
定番ですね(笑)窓から空を見上げる夏美。彼女は空を見上げて何を想う
のだろうか・・。大好きなひとと一緒に空を見上げる幸せが訪れるといいね。
二人が見上げる空が晴れ渡っていれば、それはこの世で何よりの幸せだと
思う・・・。