撫子の花びらたち

すべての出会いは幸せのためであってほしい

笑顔でいれば

 小学生のラグビー、公式試合がひとつ終わって
練習が土日から、日曜のみに戻った。先週インフルエンザで
熱を出した息子は、残念ながら公式戦デビューならず。友達と
会うのも2週間ぶりという、なんだかしまらない感じ。


 熱だしてうんうん唸ってたならあきらめもつくけれど、何だか
わりとあっさり引いて、応援くらい行ってもいいかな?どうしよう
かな?という宙ぶらりんな日曜日だったので、なおさら、不摂生と
間抜けに腹が立つやら責任を感じるやら、コーチにもチームメイト
にも、何だか申し訳ないような感じ。本人がなんだかどう思って
いるのか分かんないところがますますイライラして、夫婦喧嘩に
なりそうだから、話題を避けてました、私、正直いうと・・。


 ふがいなさに腹を立てた父は、気持ちが入ってないならやめて
しまえ!と宣言。まあ、たまにはいいか・・と黙ってみていたら
ラグビー、やめんけん!」と、次男静かに宣言。これが聞けた
だけでも、収穫ありか・・と、気持ちを落ち着ける母。


 試合は、結果こそそんなに目立たなかったけれど、今までにない
真剣な表情と、必死のプレイの連続で、子供たちは大いに成長した
様子。試合中の写真をいっぱい撮ってもらっていたけれど、どれも
ほんとにいい顔していて、子供って本当にたったいちにちで奇跡を
起こすほどに成長することがあるんだろうな・・と思わせられる。
 その場所に我が子がいなかったことは、本当に悔しい。自分も
立ち会えなかったことは本当に寂しかった。写真を見ながら、ひとり
こっそりぼろぼろないていたのは、つい4〜5日前のこと。


 グラウンドに行くときは、しばらく練習に行かなかった子供のような
ためらいを感じた。「ちょっと取り残されたかもな・・」という
だんなのひとことを、わたしも少しは感じていたのでなおさら・・。


 同じ学年のお母さん達の輪に加わる。残念だったねえ!といって
下さるみんなに素直に「ほんと!」と加わる。みんないい顔してた
ねえ・・というと、ほんとうにいろいろいい話を聞かせてもらった。
「あなたのことだから、我が子が出てなくても観に来るかと思った
わよ、ほんとにインフルエンザ大変だったのねえ」と、言ってもらい
照れ笑いプラス苦笑。ちょっぴり頑張って、「あたしがいなくても
みんなちゃ〜んといいプレイしてたじゃない!」というと、いてくれたら
もっといい試合になってたわよ!と優しいお言葉。次の公式戦では
絶対、みんな揃って優勝だ〜っ!って盛り上がってました。


 他の学年のコーチからも、でられんかったってねえ・・あの学年の
コーチが、可愛そうに・・って心配しよったよ・・ってきいて
何ともありがたく思いました。


 午後は、高校生の試合。学校ではなく、いわば、高校生のクラブチーム
の大会。花園で繰り広げられる試合などとは、少しばかり雰囲気も違い、
勝ち負けへの執着は多少薄いようにもみられたけれど、勝ち負けが決まって
しまったからといって、悲壮感が漂ったり、投げやりになったりすることも
ない最後まで走り、戦い続ける、さわやかな風が吹き抜けるような試合
だった。


 関係者のひとが後ろで、「何より、この芝生の上でラグビーを楽しめる
のが幸せなことだ・・」と話してある声が聞こえる。どれだけの人たちが
どれだけの指導者が、そのことをいつも忘れずにいられるのだろう。


 勝つ喜びも、負ける悔しさも、すべて子供達のものだ。苦しい練習に
耐えて勝利を手に取ることは大きな喜びになることだろう。だが、それは
本人が本当にそう望んだ時でいい。今は、笑顔を見せてくれればそれだけで
いい。そのためには、親は、ちょっとくらいこらえて笑顔をつくることも
必要だろう。ほかは、怖れることはない。笑顔でいれば、笑顔が返ってくる。
 ずっと続けてきたことがどれだけ大切なことだったかは、なによりも、
素晴らしい仲間がいることが証明してくれている・・・。


 試合のお手伝いをした息子たち、おしゃれなノートなどをご褒美に
もらっていた。あれいいなあ・・などとノートの柄の話をしていたら
「あれが欲しい?」ときかれ、息子がさっさと友達のノートと交換して
はい!と、私にくれた。いいの?というと、さっき換えてくれん?って
頼まれとったっちゃん、と笑う息子。そうそう、執着も少ないかわり
妙に気前が良かったりするんだ・・と思いだした。帰りがけに得点板の
仕事をしていた息子によくわかったねえ・・というと、「それくらい
分かるし!」と怒られた。「今日の練習楽しかった」とつぶやく息子に
安心して、家路につく。


 朝は寒くて仕方がなかったけど、いつの間にか明るく暖かくなって
いた、日曜日だった。