撫子の花びらたち

すべての出会いは幸せのためであってほしい

悲しないのに涙でてくる(芋たこなんきん)

 お姉ちゃんって頼もしい。「ありのままの姿で勝負し!
それで逃げていく男なんかこっちから願い下げや!」
町子さんもびっくりのおんなのセリフを妹にプレゼント
してくれる。


 「眼鏡かけてたっけ〜やて、がっかりや。あたしのことなんか
なんもみてなかったんや」と、力の抜けてしまったあきちゃんに
町子さんがいう。それはちがうよ。あの子はちゃ〜んとあきちゃんの
ことをみててわかってくれてた。外見しか見えない子が多い中で
中身までみてくれてた。たいした子おや、と。


 笑い話にして、笑い飛ばしてちゃんちゃん!おわりました!って
かたをつけそうな話に、そうじゃない、きちんと意味があるんや
と言ってくれた町子さんに頭が下がる。


 若いときって分からないことが多い。自分のことって見えないことが
多い。傷つきたくないから、わざとなんでもないふりすることだって
ある。自分で笑って、それでおしまいにしようと思うこともある。
 愛されていることに気づかずに苦しむこともある。自分に自信が
なくて相手の心が届かないこともある。


 町子さんが、相手に向かって真剣に話す話し方が好きだ。大人でも
子供でも、親しい人でも、初めてのひとでも、そのひとの凡てを
受けとめるように話を聞く。そして、一生懸命に話すその姿がいい。


 身長70センチから女心は芽生えているとか・・悲しくないのに
涙がでてくる・・というのは、大人に一歩近づいた証拠かもしれない。