撫子の花びらたち

すべての出会いは幸せのためであってほしい

命より大事なものなんかあらへん(芋たこなんきん)

 大事に大事に育ててきた自分の仕事(雑誌)をなくすのは、
命を無くすくらい苦しいことなんやないやろうか・・という
町子に、健次郎がはっきりと言う。「命より大事なものなんか
あらへん」。


 似ていること・・はあっても、それははっきりと違う。命が
あれば、また気を取り直してゼロからでもやりなおすことが
出来る。健康な体があれば、それはできる。いくら苦しくても
困難でも、それは、生きているからこそできる。


 死んでしまおうか・・と思ってしまったときは考えてみて欲しい。
その命を、どれだけ欲しいと願っているひとがいることか、自分の
ために、自分の愛するひとのために、大切なまだまだやりたいことを
思う存分するために、健康な肉体をわたしだったらもっと大事に
使うのに・・とはがゆい想いをしているひとがいることを。
 譲れるものなら譲って欲しい、分けてもらえるなら分けて欲しい
と思っているひとが、どれだけいることか・・・。


 それでも、そんなことはできやしない。自分の明日の命すら、
本当のところは分からない。幸運にも、多分今日の続きに明日が
あることを信じていられる環境にいるだけだ。命の重さは、だれも
みな一緒で、何よりも重い・・というけれど、その重さに気づいて
いるかどうか、その重みを実感できるかどうかは、そのひとそれぞれ
その時々・・・というのは否めないと思う。疲れて、うずくまりたく
なってしまったときこそ、明るい空を見上げて、楽しいことを
考えてみてほしい。まだまだ、やりたいことはいっぱいあるはず。
今まで何もなかったのなら今から。もう苦しみは充分味わったのなら、
なおさら、もう今からは楽しいことを・・。


 健次郎さんが繰り返し、命の大切さを語る。町子さんが一生懸命に
なりすぎて、煮詰まってしまうたびに、手を取って引き戻すように
それでも生きてることがいちばんなんや・・と頭を冷まして、心を
落ち着けてくれる。その上で、黙って見てるだけなんてできへん!
と、心を決めた町子に、あんたの思うようにしたらええ・・・と
言って見守っていてくれる、健次郎。ちょっとかっこよすぎるよ!
 これって、女の子にとって、理想の、おとうちゃん・・かな。
でもって、おんなにとっても、あらまほしきおとこ・・ですね!