撫子の花びらたち

すべての出会いは幸せのためであってほしい

ラグビーの感触

 息子のラグビーの練習があっているグラウンドへ出掛ける。昨日までの
寒さなど寒さと呼べるものではなかった!というくらい寒い。息子は
風邪の治り掛けのため大事をとって休み。届け物があったのでひとり練習
場所へ・・。


 荷物を届けて、連絡事項をきいてすぐ帰ろうかとも思ったが、もともと
ラグビーみるのは好きなものでついつい長居してしまう。我が子欠席の為
一歩下がって見渡す。それぞれのポジションで頑張っている子供たちを
それぞれの立場で指導したり、見守ったり、声掛けをしたりして下さって
いる、コーチやお父さんたち。たくさんの人たちがまとまって動くのは
大変なこともあるだろうが、子供にはなるべくたくさんの大人の目が届いた
方がいい。そして、出来ることなら、いろいろな考え方を持った人たちが
緩やかなコミュニケーションをもっている、柔らかく、多面的な世界に
いられるといいと思う。今のところ、とてもいい環境にいるものだ・・と
今さらながら感謝の気持ちが湧いてくる。


 一番後ろの方で、ゲームに関係ないよ・・ってな顔をしていた子が、何度か
声を掛けるうちに、少しずつ前に出てきた。高く上がったラグビーボール
取り損ねてノックオンにはなったけれど、その感触が何かを与えてくれたのか
しばらく自分の手をいろいろ触っていたかと思ったら、つけていた手袋を
脱ぎ捨ててゲームに参加し始めた。この間は、タックルを受けて倒れたあと
ずいぶんと肘やら手首やら気にしていたけれど、やっぱりそれから動きが良く
なっていたっけ・・・。


 ラグビーに馴染むことは、人間に馴染むことかもしれない。声を掛けて
ボールをやりとりして、その中に、肩を組んだり、体に触れたり、こんなに
敵・味方とも接触の多いスポーツ、滅多にない。それも生身で・・。
 小さい頃はなるべく人に当たらずにトライを取ろうと思っていた子供たち
も、やがてそれも出来なくなり、仲間達と力を合わせてボールを繋げることを
覚える。その中で、体を張って守り、攻める、力強さを身につけるように
なる。痛みすらラグビーをやっている、この時を生きている確かな感触の
ひとつとして・・。


 ボールを受けとめた時に感じた軽い痛みの感触は、あの子にはどんな風に
伝わったのか・・。心なしか瞳が輝いたように見えたのは私の思い過ごし
だろうか?今回のコーチのキーワードは「一人にするな・一人になるな」
もちろん、ラグビーを戦う上での言葉だが、今の時代にとても大切なことの
ように感じられる。あの輝く瞳で、仲間達と思いっきり走り回って欲しい・・
我が子にそう思うように、仲間達すべてに、できれば子供達すべてにそう願う。