撫子の花びらたち

すべての出会いは幸せのためであってほしい

その26  満足

深い、深い、満足は
ちいさな覚悟と似ている
もう二度と逢えなかったとしても
この出逢いに感謝します・・・と


 あまりにひとりでいると心が波立たないことに不安を感じる。
少し前は、恋に焦がれる自分が鬱陶しかったのに・・!
 

 空を見上げる。いつの間にか晴れているのに重たい冬の空だ。今夜は
雪が降るかもしれない。雪の空を見上げるのは好きだ。雪が降っているのか
自分が登っているのかわからない気分になる。


 ちょうど今そんな気分だ。一人で居るのが淋しくないのか、あのひとが
恋しくて仕方がなくて引きちぎられそうなのか・・。凍えた手のひらに
自分で息を吹きかけながら、自分のこころを溶かしている。


 澄んだ世界で死んでいるより、濁った世界でも生きているほうがいいと
このごろ思うようになった。あきらめを満足と言い聞かせる嘘はやめよう。
深い深い満足は、もう一度・・と渇望していたはずだ。