撫子の花びらたち

すべての出会いは幸せのためであってほしい

きれい(芋たこなんきん)

 夢見る少女の町子ちゃんも、もう15歳。時代はいよいよ戦争へと
向かいます。「わたし、書かなあかん・・」と原稿用紙に向かう
大人の町子さんの思春期・・です。


 ものごとにはつくづく見方によって変わる面があると思う。
軍国主義も、兵隊さんも、きれいなものが大好きで、疑うことを
知らない、少女にとっては疑うことのない美しいものになること
だってあり得るんだ。純粋なひとたちをそう誘導することくらい
ちょっとした操作で出来ることなんだ。また、その一途で純粋な
命を捧げたひともたくさんいたことだろう。


 戦争反対を叫ぶ時に、そのすべてを否定し、ないものにすることは
できないと思う。過去を消してリセットすることはいつの時代にも
できない。ただ、ものごとをいろいろな方向から見ること、いろんな
立場の価値観で論じ合うことは、平和な今こそしておかなければ
いけないと思う。国を大切に思うことは悪いことではないけれど、
日本のひとが日本を大切に思うように、他の国のどんなひとでも
自分の大切にしたい国がそれぞれあること・・。


 なんだか、いじめの問題と、戦争の息苦しさがだぶって感じられて
しまう。苦悩の末に自決・・と、現代の大人の自殺。辱めを受けるくらい
なら・・との集団自決と、若者の命を散らす無念さ・・・。


 戦争でたくさんの命がなくなり、命のはかなさが身近になってしまう
時代・・。本来、命はそんな自分で勝手に扱えるようなものではない
のではないかと思う。生きたいと願っても限りある命もあるというのに!


 先週のお話のなかで、「ほっちっち〜」と歌うひとに向かって、そんな
勝手なことをしたらいかん、ほっとけん!と怒った、町子、健次郎、
健次郎のお母さん・・・。国のために命を捧げるような国にはなりたくない。
自分の生を大事に生きて、他人の人生も大切に扱えるようなひとたちが
いる国・・そんな当たり前のことを当たり前にしていくことがきちんと
したものをかたちづくっていくのではないかと思う。