撫子の花びらたち

すべての出会いは幸せのためであってほしい

言葉と料理(芋たこなんきん)

 町子と徳永先生が「たこ芳」で交わす会話はとても好きだ。
大人の会話だ。この間、台所で仕事をしながら二人の話の
場面を聞くとはなしに聞いていたら(多分、土曜日のBSのやつ)
二人の声が何とも色っぽいのに気がついた。この二人、新婚初夜
から別居で、全然色気抜きみたいな関係だけど、大人のふたりが
好き合った仲だもの、心では充分男と女なんだなあ・・と妙に
納得。藤山直美さん演じる町子に艶が出てきましたものね・・。


 で、今日の会話。「なんで嘘書くんやろう?」「嘘の方が
面白いからやろう」「でも、人を傷つける嘘はつまらん」
「真実もひとを傷つけることがあるよ」。


 真実が人を傷つける・・なんて深く悲しいことだろう。町子
が、前に言っていた。小説は加工品、生のものとは違うの。
真実・事実が素材だとしたら、言葉はその人が出す料理のような
ものかもしれない。素材に悪意はなくても、調理する人が、わざと
食べられないものを出したり、変な味付けをしたりしたら、
ひとはその素材を二度と口にしたくなくなるかもしれない。


 夢のある嘘じゃないと・・・。真実も嘘も、口にするひとの
気持ち次第。何のために言葉を発するのか、そこにいる相手に
何を伝えたいのか。真実を伝えるときには、美味しいものを選び
素材のよさを生かすように、真実では足りないときには相手を
思いやり、自分の気持ちに恥ずかしくないように・・愛する人
料理をつくるように、言葉を紡げたらいいなあと思った今日の
「大人の会話」講座でした。